会長挨拶

日本脊椎関節炎学会第36回学術集会
会長 田村 直人
順天堂大学医学部 膠原病内科 教授

会長 田村 直人

本学会は、強直性脊椎炎(AS)研究会として発足し、以来長年にわたり、わが国における脊椎関節炎の診療および研究の発展に大きく貢献してまいりました。このような歴史と伝統ある学会において大会長を務めさせていただくことは、誠に光栄であり、身の引き締まる思いです。これまでの歩みを受け継ぐとともに、本学術集会が脊椎関節炎の新たな時代を切り拓く議論の場となることを願っております。

脊椎関節炎の診療は、リウマチ学にとどまらず、整形外科学、皮膚科学、放射線診断学、リハビリテーション医学、さらには免疫学や分子生物学といった基礎医学の分野に至るまで、多領域の連携により著しく進展しました。近年では、MRIや関節超音波などの画像診断技術の進歩に加え、バイオ製剤やJAK阻害薬といった分子標的治療の導入により、診療の幅は飛躍的に拡大し、治療選択においては患者との協働による意思決定(shared decision making)の重要性が一層高まっています。

一方で、脊椎関節炎の診断はいまだ容易ではなく、診断の著しい遅れや過剰診療が大きな課題として残されています。こうした現状をふまえ、本学術集会のテーマを「多領域で挑む脊椎関節炎診療の適正化と進化」といたしました。本集会を通じて、脊椎関節炎に関する最新の知見を共有し、より適切な診断と治療を目指した多角的な議論が展開されることを期待しております。

本学術集会が、脊椎関節炎診療のさらなる適正化と将来に向けた進化の一助となることを心より願い、皆様のご参加をお待ち申し上げます。