この度、池田佳生先生の後任として、日本脳血管・認知症学会の第5代理事長に就任いたしました小野賢二郎と申します。
本学会はこれまで、歴代理事長の先生方をはじめ、各委員会委員長の先生方、学会員の皆様、事務局の皆様のご尽力により学術的発展を遂げ、社会における認知も着実に広がってまいりました。ここに改めて深く敬意と感謝を申し上げます。
今後は、本学会のさらなる発展を目指し、多領域にわたる連携を一層推進するとともに、学会員の拡充と活動の活性化に取り組んでまいります。また、社会に開かれた学会として、その存在意義がより広く共有されるよう努めてまいります。引き続き、皆様の温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。
本学会は2010年4月に日本Vas-Cog研究会として発足し、2014年10月に日本脳血管・認知症学会(Vas-Cog Japan)へと改称され、現在に至っております。2026年4月時点での学会員数は212名であり、評議員76名、理事26名、顧問3名、監事2名により構成されています。これまでに15回の総会を開催し、2015年9月にはVas-Cog World(第7回国際会議)との合同開催も実現いたしました。
わが国は世界でも類を見ない超高齢社会を迎え、認知症および軽度認知障害の有病者数は増加を続けています。2022年時点では、認知症患者443万人、軽度認知障害558.5万人と報告されており、この傾向が続くとすれば、2040年にはそれぞれ584.2万人、612.8万人に達すると推計されています。このような状況のもと、早期診断や有効な治療法の開発に加え、患者さんとご家族を支える社会基盤の整備が一層重要となっています。
一方で、アルツハイマー病に対する疾患修飾療法の開発は長らく困難とされてきましたが、近年大きな進展がみられました。2023年にはレカネマブ、2024年にはドナネマブが本邦で承認され、臨床現場での使用が可能となったことで、認知症診療は新たな段階へと移行しています。現在は、実臨床における有効性や安全性に関するデータの蓄積が進むとともに、アミロイド関連画像異常(ARIA)などへの対応も重要な課題となっています。
本学会の特徴は、認知症の発症・進展における血管性因子の役割に着目している点にあります。加えて、基礎と臨床の融合的な研究体制、さらに複数診療科にまたがる専門家の連携により、学際的な視点から研究と診療の発展に取り組んでいます。こうした取り組みは本学会の大きな強みであり、今後も重要な基盤であり続けると考えています。
学会誌「Vas-Cog Journal」は2019年より完全英文化され、2025年には投稿・査読体制も整備されました。現在はPubMed Central(PMC)への収載を見据え、さらなる質の向上と発信力の強化に努めております。また、毎年の総会では多様な分野の研究者・医療関係者が集い、活発な議論と交流が行われています。
認知症をめぐる国の施策においては、「共生社会の実現」が重要な理念として掲げられています。本学会としても、医学的知見の深化のみならず、社会的課題の解決に資する役割を果たしていく必要があると考えております。
近年、血管性因子と神経変性との関連についての理解は大きく進展しており、認知症の病態理解は新たな局面を迎えています。本学会の活動は、こうした知見を基盤として、予防・診断・治療のさらなる発展に寄与し、社会に対する貢献へとつながるものと確信しております。
本学会が、分野や職種を超えた知の交流の場として今後も発展し続けるよう努めてまいります。多くの皆様のご参加とご協力を心よりお願い申し上げます。
2026年4月1日
